アパート
部屋探し
長く住むなら慎重に選びたい
日本にいる間にインターネットでパリのアパートを検索していたので、だいたいの相場は分かっている。その中で日本人が家主のアパートがあったので、部屋を見せてもらうことにした。いまから思えばやはり早く落ち着くところが欲しかったのだと思う。とんでもなく狭い部屋だったが、値段に釣られてあっさり決めてしまった。とはいえ、安心して寝る場所ができたことにホッとしたのは間違いない。後日アパートに電話を引き、公衆電話を使う必要もなくなったので、寂しくなるとすぐに日本の家族や友人に電話をして気を紛らわせた。今では海外での携帯電話の利用もかなり安くなってきたので、その方が便利かもしれない。もし部屋にネットの環境があるならSkypeなんかもいいだろう。

今となっては笑い話だが、本当にひどいアパートだった。とにかく壁が薄く、隣りはもとより、隣の隣くらいからの音も筒抜けだった。安いアパートだけあって、住んでいるのはフランス人とは限らず、おそらくアラブ系やアフリカンも多かったのではないだろうか。ギターの音はギャンギャン響くし、理解不可能な言語での喧嘩の声や、男女のあえぎ声(もはや叫び声にちかい)もしばしば聞こえた。イライラしてよく壁をげんこつでたたいたものだ。
またある時に、流しの蛇口にさわるとビリッとする感覚があった。何日も続くのでおそるおそる蛇口をひねっていたのだが、ふと足下を見ると床のカーペットが濡れている。よく調べると流しの下から水漏れがあって、その上に乗っかったまま蛇口を握ったときにどうやら感電していたのだった。後で分かったことだがこれはさらに上の階からの水漏れが原因だった。パリのアパートの水回りの悪さは有名である。数ヶ月後にパリに訪れる私の恩師のアパートでは、住んですぐにトイレの天井が落ちて水浸しになったそうである。これはパリの住宅事情によるものが大きい。歴史的価値や景観を鑑みて、パリでは新しい建造物を建てることが難しく、したがって建物自体はそのままに、壊れたところを修復しつづけていくしかないのだ。100年前、200年前に建てられたアパートなんていうのは普通なので、不具合がでない方がおかしい。
文章・写真:SHIGE











